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合唱指揮者 谷 郁 オフィシャルウェブサイト

ポーランドでの演奏会

2月に入ってからありがたいことにいろいろとお仕事があり、
慌ただしい日々を過ごしているうちにあっという間に3月になってしまいました。

2月16日にはひとつ前の投稿でご案内させていただいた
♪URAYASU ピュアクラシックコンサート♪が無事終演いたしました。
10名の素晴らしい歌い手が、その高い能力と集中力とでプロジェクトに臨んでくれ、「風の馬」という名曲をしっかり演奏出来たのではないかと思います。
演奏会を聴きに来てくれた小学生の女の子から「あの曲は怖いからもう歌わないで!」という感想があり、予想していなかった反応に驚く一方で、楽曲の妖しさのようなものがある意味でしっかりと伝わったのかなとも思えた反応でした。

ピュアクラシックコンサートの様子
撮影:吉田匡孝(Masataka Yoshida)

 

そして時間が遡りますが、私のこれまで31年間の人生の中で一番、といっても過言ではない大きな本番が2月11日にポーランドでありました。

事の始まりは2016年秋、ポーランド・ヴロツワフという街で開かれた合唱指揮のコンクールに出場した際に、モデル合唱団を務めていたプロ合唱団NFM Choirから特別賞を受賞し、ひとつのプロジェクト(約1時間半のコンサート)を指揮する権利を頂きました。それが実現したのが今回のコンサートです。

コンサートのプログラムは基本的には任せて頂いたのですが、日本の合唱曲を組み込んで欲しいというリクエストがあり、私が学んだオーストリア、ドイツの作品と日本の作品を組み合わせた以下のようなプログラムを組みました。

***
武満徹:さくら
E. Krenek: Die Jahreszeiten
武満徹:風の馬
J.N.David: Es ist ein Schnitter / Kume, kum, Geselle min / Mit Lust tät ich ausreiten
M. Reger: Es waren zwei Königskinder
A. Schönberg: Drei Volkslieder für gemischten Chor
間宮芳生:合唱のためのコンポジション1
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私はこれまでに合唱指揮の講習会などで何度かヨーロッパのプロ合唱団を指揮したことがあるのですが、丸々ひとつのコンサートを指揮するのは初めて。まずテーマを決めてプログラムを決定するところから、悩みと葛藤の連続でした。コンサートとしての統一性や聴き応えはもちろん、自分のレパートリーと言える楽曲と未経験の楽曲をどう合わせるのか、合唱団のレベルと楽曲の難易度、稽古の回数など・・・。たくさん悩み、同僚や師匠に相談したり、NFM Choirの指揮者ともやり取りをしながら、このプログラムにたどり着きました。

私がポーランドに入り、合唱団との稽古に与えられた時間は3時間×3回の計9時間。長いようにも思えますが、組曲なども含めて20曲以上のプログラムを仕上げるには決して充分な時間とは言えず、毎回最後の1分まで無駄には出来ない緊張感の中での稽古でした。それは堪らなく楽しい時間であるのと同時に、慣れない英語での稽古ということも重なってか、3時間の稽古が終わった後は頭と心が消耗しきっていて、数時間は何も考えられず、食欲も湧かず、ただただヴロツワフの街を歩き続け、少し落ち着いてきたら食事をして翌日の準備をする、という毎日を過ごしました。

そんなこんなであっという間に迎えたコンサート当日。
プログラムの珍しさからか、主催者も驚くほどの人数のお客様にお越し頂き、開演しました。演奏会では、すべての楽曲が理想的に演奏された、という訳ではありません。涙が溢れそうになるほどの美しい瞬間が何度もありましたし、また稽古時間の足りなさが露骨に出てしまったところもありました。それでも合唱団のメンバーは常に私と一緒に音楽をしてくれていて、指揮者として一人で前に立ってはいても、決して孤独ではない時間でした。(演奏がうまくいかない時というのは、一人で戦っているような気持ちになったりするのです)

自分の音楽作り、指揮の技術、稽古の組み立てなど、反省することも数え切れないくらいあるのですが、今回の経験を通して非常に多くのことを学びましたし、確実に自分のステップアップになったプロジェクトでした。(経験値が一気に100くらい上がった気がします・・・)終演後にはお客様や団の関係者から暖かいお褒めの言葉を頂き、また合唱団のメンバーから「あなたは本当にすばらしい音楽家よ」と声をかけられ、自分の音楽を評価してくれる人が(しかもその人自身がすばらしい音楽家である人が)いるということがとても嬉しく、自信にもつながりました。

NFM Choirとの演奏会の様子

またポーランドを始め海外で指揮をする機会を頂ければ大変嬉しいですし、そのために基盤となる日本での演奏活動を積極的に行いながら、海外にも自己を発信できる機会を探っていこうと思っています!

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