ここに投稿するの去年の3月ぶり…?
一年が経つ早さに驚いています。(さぼっててごめんなさい)
vocalconsort initium 9th concert -ひびきとことばのまんなかでⅡ- 東京カテドラル大聖堂での公演が無事に終了いたしました。
カテドラルは、その音響も、建築としての威厳も、雰囲気も特別な場所で、これまで何度も演奏会を聴いたり、時には歌ったり指揮を振ったこともありますが、ついにinitiumと共にあの場所に立てたというのは、感慨深いものがありました。
今回はカテドラルの残響7秒と言われる音響を活かす事を一番に考えたプログラム構成で、美しくシンプルな三和音、ハミングだけの演奏、クラスターや休符まで、いろんな「ひびき」を味わっていただけたのではないかと思います。
カテドラルは非常に大きな会場なので、自分が出したはずの声が自分から離れていってしまう感覚があって歌うのはかなり難しい会場なのですが、経験豊富なinitiumメンバーはカテドラル初体験者もかなりいたにも関わらずしっかりと乗りこなしてくれました。あとから「ほかパート全然聴こえなくて怖かった💦」という話を聞きましたが、そうは思えぬアンサンブル力でした。
さて、今回はアンコールを含めて10曲演奏したのですが、私が指揮した5曲について短い感想を。
Pärt: Kleine Litanei
三和音と長い休符で構成されているとてもシンプルな曲で、今回は聴衆席の背後で演奏しました。カテドラルの響きに出会っていただく一曲目として最適だったのではないでしょうか。
Rihm: mit geschlossenem Mund
以前から演奏してみたいと思っていたものの、全編ハミングの繊細な表現の曲で、響きの良い会場でないと魅力が伝わりづらいと思っていたので、今回演奏出来て良かったです。この曲を聴いていたら胸が苦しくなって涙が出てきたという感想を書いてくださった方がいて、曲の表現するものが伝わったのだな、と。
Brahms: Warum
言わずと知れた名曲で私もこれまでに何度か演奏していますが、教会でやることであの曲の本当の姿が見えてくるように思います。warum!の2回目(dim がある方)の消え入るような声が、あまりに切なくて心に残っています。あとは最後のコラールのwie der Gott verheißen hatの温かいクレッシェンドも初めて聴いた表現ではっとしました。
Reger: O Tod
機会さえあれば演奏したいくらい好きな曲。ただイントネーションの「正解」の範囲が狭くて難しい曲だと思っていて、今回は突き詰めたとまでは言えずともかなり踏み込んだリハと納得のいく演奏が出来た気がしています。あとは最後の超スローテンポコラールを超スローテンポで出来たのはカテドラルの力。initiumであと5回くらいやりたい曲です。
Penderecki: Agnus Dei
この曲は正直さほど個人的な思い入れはなく、プログラムのバランスで選んだのですが、改めてその魅力を知りました。あまりに美しくて表情豊かだし、カテドラルで鳴り響いた鮮烈な20声クラスターとその後の残響は忘れられません。感想でもこのクラスターの事に言及している方が多く、みなさんの心にも同じように残ったのだと思います。クラスターだから音はなんでも良いや、ではなく1パートずつ丁寧に音程はめる練習して良かったです(笑)
もう一つ、とても大きな成果を感じたのは集客です。
initiumの演奏を多くの方に聴いていただくという意味でも、またプロの公演として成立させるためにも集客はとても大切です。
かといって、所謂集客のための選曲(人気の作曲家の好きでもない曲をやるとか)はしたくない、どうやったら自分たちが魅力的だと信じている曲のよさを知ってもらえるか、が勝負だと思っているので、今回自分たちがやりたいプログラムにこだわりつつ、そしてカテドラルという場の力を借りて、350人のお客様にお越しいただけたことは大きな成果でした。
initium初期は、100人に来ていただければ御の字、その後数年は200人が限度という時期が長く続き、ここ最近300人を超えるお客様に来ていただけるようになってきました。もちろん数が全てではないけれど、とてもとても嬉しいです。
実は今回のチケットのうち100枚くらいは私が売っていて、これもいろいろな幸運が重なったからなのですが、指導などで関わっている団体の歌い手さんが、私の音楽に興味を持ってくださってわざわざ演奏会に足を運んでくださると言うのは本当に嬉しい事です。職業柄、年がら年中演奏会の宣伝をしているので、正直ちょっと申し訳ないような気持ちもあるのですが、演奏会行きたいです!!と言ってチケットを買ってくださる皆様に、気持ちの面でもいつも支えられています。
initiumの次の公演は10月!
その先もいろんな計画を練っているところです。こてからもinitiumの活動を応援していただけると嬉しいです!
2月は、女声アンサンブル八重桜、日本大学混声合唱団、initium、関西指揮ゼミコンサートと四つの本番があり、京都大阪に加えて山形県での講評のお仕事もあって怒涛の1か月でした。まずはその全てを健康に終えることが出来てホッとしています。
…と思ったら久しぶりに本番のない1週間でしっかり体調崩したので、今日は体を休めつつこの文章を書いています。
3月は関西混声合唱フェスティバルへのOBMCでの出演と、Hugo Distler Vokalensembleの演奏会でありがたいことにもう一度カテドラル大聖堂に立たせていただきます。
また体調を整えて、元気にがんばります!