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Totentanz&晩祷

6/3 [MUZICA SLAVI 晩祷 × HUGO DISTLER VOKALENSEMBLE
JOINT CONCERT]

6/4 [ムウジック!]

二つの演奏会が無事に終演いたしました。
まずは体調を崩すことなく、無事にこの2日を終えられたことに心から安堵しています。
演奏会を終えた気持ちが新鮮なうちに書き残しておこうと思いますが、長くなりそうなのでまずは6/3のお話。

まず6/3はとにかくハードな1日でした・・・
14:00から18:30までリハーサルで、19:00から21:00までが本番。
2団体のジョイントコンサートで、両団とも私が指揮なので、とにかく一日中指揮を振っていたという記憶です。全曲アカペラでしかも変拍子というかなり集中力を使う作品だったので、ポケットに忍ばせたブドウ糖を定期的に摂取しながらなんとか乗り切りました(笑)

はじめに、Hugo Distler Vokalensembleが演奏したDistler作曲のTotentanz(死者の踊り)は、私が敬愛するDistlerの作品の中でも特に思い入れが強い作品で、いつかこの合唱団で、そして出来ることならカテドラルで演奏したいと願っていました。ヨーロッパでのペストの大流行が元になっているこの作品は、コロナが蔓延している今の時代にはあまりに合致しすぎていて、私自身辛くなることもありますし、また聴く方の傷を抉ってしまうような作品であるとも言えます。身分や年齢に関係なく、次は誰のもとに死神が訪れるのか誰にもわからない。死神が訪れたときに、自分は胸を張って神の前に立てるのか。私はキリスト者ではありませんが、そんなことを考えずにはいられない作品です。
作品は、合唱曲の合間に死神と死にゆく者の対話が挟まる形で進むのですが、合唱部分はドイツ語のままで、そして対話部分はドイツ語の詩を私自身が日本語に訳しましてお送りしました。死神役には俳優の佐藤二葉さんをお迎えし、死にゆく者12名は団員が演じました。二葉さんに事前に団員への演技指導もお手伝いいただいたのですが、一人一人が役と向き合い、作品のメッセージをしっかり聴衆のみなさまに届けてくれたと思います。
あまりにメッセージ性が強い作品であるため物語が印象に残りやすいと思うのですが、合唱の音楽も大変に美しく、私たちの演奏を通してDistlerの音楽の魅力が伝わっていれば嬉しいです。
もっと多くの方にこの作品を知っていただけるよう、生涯を通して演奏を続けていきたい作品です。

次にラフマニノフ作曲の晩祷について。私にとっては初めて指揮する作品でした。ロシアの音楽にはこれまでにあまり触れる機会が多くはなく(大学のオケの授業でチャイコフスキーやストラヴィンスキーを振ったことがあるくらい)、ロシア正教会の音楽や、教会スラヴ語に取り組むのももちろん初めてでわからないことだらけ、ムジカ・スラーヴィのみなさんに教えていただくことばかりでした。合唱団の中には晩祷の演奏をライフワークとして繰り返している方もいらっしゃり、この作品の人を惹きつける力の強さを感じていました。
私自身は、なかなか作品を捕まえることができないような感覚があり正直苦戦している期間が長かったのですが、カテドラルの響きの中で全曲を演奏してみて腑に落ちたというか、自分も音楽の中に自然に溶け込めたような気持ちになりました。「アリルイヤ(ハレルヤ)」という言葉が何度となく繰り返されたときには、神様の存在をとても身近に感じました。

演奏会を通して、緊張は全くしていなかったのですが集中はしていて、あまり興奮もせず不思議なくらい冷静で、「演奏するぞ!」というよりは、ただ音楽の1ピースとしてそこにいるだけ、という感覚でいたような気がします。音楽の力、そしてカテドラルという神聖な場所の力を強く感じた時間でした。

最後に、今回共演してくださったオクタビストの鈴木雪夫先生、俳優の佐藤二葉さん、フルートの西下由美さん、合唱団の賛助として歌ってくれた音楽仲間、Hugo Distler Vokalensembleとムジカ・スラーヴィ両団のみなさん、そしてこの機会を作ってくださった清野さんはじめ運営チームのみなさん、本当にありがとうございました。

ずっとバタバタしていたので、写真が一枚もありません(笑)
お世話になった楽譜の写真を載せておきます!

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